軟骨の再生が可能に!?
自らの軟骨細胞を培養…膝関節内欠損 広くても補完
読売新聞(ヨミドクター) 12月29日(土)12時45分配信
![]() |
拡大写真 |
(写真:読売新聞) |
自らの軟骨細胞を体外で培養する「自家培養軟骨」の製造・販売が、今年7月、厚生労働省の認可を受けた。早ければ来春にも、スポーツによる軟骨損傷などを対象に、治療が広く行われるようになる見込みだ。
■高い安全性 スポーツ外傷治療など 来春以降にも
軟骨は、膝などの関節内の骨と骨の間にあり、骨同士がぶつかるのを防ぐクッションの役割を果たしている。
骨折しても再びつながる骨と違い、軟骨は一度損傷すると戻らない。軟骨には血液も神経も通っておらず、傷を治すために有効な細胞が少ないためだ。
損傷が小さければ、影響の少ない場所の骨と軟骨をごく小さく切り取り、軟骨が欠けた部分にはめ込む方法がある。ただし損傷が4平方センチ・メートル以上と大きい場合は、有効な治療法がなかった。
スウェーデンの研究者は1994年、損傷部に骨膜を縫いつけ、体外で培養した液状の軟骨細胞を注入する方法を発表したが、縫い目から細胞が漏れ出る欠点があった。
そこで、広島大整形外科教授の越智光夫さんは、固形の培養軟骨を作ることを検討。シワ取りなどに使われる「アテロコラーゲン」に注目し、細かく砕いた軟骨から分離した細胞をコラーゲンに混ぜて培養したところ、ゼリーほどの硬さの培養軟骨を作ることに成功した。
損傷した部分の形に合わせ、培養軟骨の形を整える。手術で損傷部分にはめ込み、骨膜で蓋をして縫い付ける。
軟骨の病気で、中学生の頃から膝の痛みに悩まされてきた千葉県鎌ヶ谷市の会社員笠川典良さん(36)は2010年、自家培養軟骨を使った左膝の治療を同大病院で受けた。
軟骨を関節鏡手術で採取し、約3週間かけて培養。移植の際には1か月半入院した。1年後まで2回、経過観察を行った。
リハビリに1年半と時間はかかったが、左足の痛みはまったくなくなった。今年、右足も治療した。笠川さんは「痛みを感じずに歩け、小走りもできる。こんなに良くなるとは思わなかった」と喜ぶ。
自家培養軟骨を使った治療は、04年から広島大を含む全国5病院で治験が行われ、30症例中9割以上が「有用」とされた。
越智さんは、民間企業の「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J―TEC」(愛知県蒲郡市)に技術を提供。J―TECは今年7月、自家培養軟骨の製造・販売の認可を得た。
「再生医療」の技術を使った製品としては、自家培養表皮に次いで国内2例目となる。来年春以降の保険適用を目指している。
膝のスポーツ外傷と、スポーツなどで関節に繰り返し力がかかって発症する「離断性骨軟骨炎」が治療の対象だ。高齢者に多い変形性膝関節症による軟骨の損傷は、対象とならない。
大学病院などの治療体制の整っている病院が、実施施設となる見込みだ。
越智さんは「自らの細胞を使う自家培養軟骨は安全性が高い。多くの患者さんが痛みがほとんどなく、日常生活に支障がないまで改善する」と話している。(針原陽子)
« 利楽 年末年始 おやすみのお知らせ | トップページ | 心停止、その時に。。。心肺蘇生法の新たな常識 »
「健康関連ニュース」カテゴリの記事
- インフルエンザ うがいは感染予防にならない?(2018.01.27)
- くしゃみ抑制すると脳血管や喉、鼓膜が破裂する恐れ 医師ら警鐘(2018.01.16)
- 無資格施術に対する認知を 消費者庁より発令されました。(2017.06.18)
- 海外でも人気?吸い玉療法(2017.03.29)
- 疲労とは???(2017.03.29)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/503573/56421595
この記事へのトラックバック一覧です: 軟骨の再生が可能に!?:
コメント